「分からない」ことを理由に、目の前の苦しみを置き去りにしない――化学物質過敏症への理解と支援を
- オフィス はま よう子
- 7月11日
- 読了時間: 4分
本日の公明新聞に、「化学物質過敏症」に苦しむ東京都内の60代女性の記事が掲載されました。
化学物質過敏症は、香料、消毒剤、建材、印刷物、日用品など、身の回りにあるさまざまな化学物質に反応し、息苦しさ、動悸、頭痛、腹痛などの症状が現れるとされるものです。
記事に登場する女性は、2022年秋に体調不良を感じ、児童館のスタッフを退職しました。
その後、身の回りの物に反応する症状が次々と現れ、日常生活を送ることが難しくなりました。香料やアルコール消毒を避けられる場所を探し、住居や仕事を何度も変えざるを得なかったといいます。
私も区議会議員になってから、化学物質過敏症の当事者の皆さまからご相談を受けてきました。
住める住宅がなかなか見つからず、何度も引っ越しを繰り返している方。
住居の建材やワックス、畳などに反応し、紹介された住宅に入ることができなかった方。
合理的配慮を求めても、「そこまで対応できない」「他の人は大丈夫だから」と理解してもらえなかった方。
仕事を続けることができず、生活困窮に陥っている方。
症状そのものの苦しさに加えて、「理解されないこと」による孤立や不安が、当事者をさらに追い詰めています。
「気のせいではないか」
「わがままではないか」
「特別扱いはできない」
そうした言葉や態度によって傷つき、二次的に心身の不調を抱える方も少なくありません。
化学物質過敏症は、原因や発症の仕組み、個々の症状との因果関係など、現在も解明されていない部分があります。診断基準や治療法も十分に確立されておらず、現在の制度や法律の枠組みでは、対応が難しい場面が多くあります。
しかし、科学的に分からないことが残されているからといって、目の前で苦しんでいる方々の存在まで否定してよいはずはありません。
原因究明と同時に「今できること」を
中道改革連合の庄子賢一氏は国会で、化学物質過敏症に関する関係省庁の連絡会議を立ち上げることを提案し、
「原因究明と同時並行で、今やれることはないのか検討してほしい」
と迫りました。
これに対し環境相は、
科学的に不確実であることをもって対策を遅らせてよいとは思わない。科学的知見の充実に努めながら、予防的な対策を講じる必要がある
との考えを示しました。
庄子氏は、この答弁を「一つの希望」と表現しました。
私も、まさに一つの希望だと感じています。
一方で、患者の皆さまは現在進行形で生活に困っています。
制度が整うまでには、一定の時間がかかるでしょう。
しかし、その間にも仕事を失い、住まいを失い、生活が成り立たなくなる方がいます。場合によっては、住居喪失の危機にまで追い込まれかねません。
だからこそ、原因究明や法整備を進めることと同時に、今ある制度の中で何ができるかを考えなければなりません。
自治体が柔軟に対応できる環境を
当事者の症状や、反応する物質、必要な配慮は一人ひとり異なります。
そのため、すべてを一律の基準で解決することは難しいかもしれません。だからこそ、行政の窓口が最初から「制度にないからできません」と断るのではなく、まずは本人の話を聞き、住まい、福祉、医療、就労などの関係部署が連携して、可能な対応を探す姿勢が必要です。
例えば、住宅を紹介する際に、建材や内装、ワックス、畳、換気設備などについて可能な範囲で情報を提供すること。
香料や消毒剤の使用について、施設利用者や職員への周知を工夫すること。
本人の希望を聞きながら、相談場所や対応方法を調整すること。
一つの部署だけで解決できない場合には、関係部署や支援機関につなぐこと。
こうした対応は、特別扱いではありません。本人が社会生活を営むために、障壁となっているものを可能な範囲で取り除くための配慮です。
私は、国から自治体に対し、化学物質過敏症の当事者が置かれている状況や、合理的配慮の考え方を周知し、個々の事情に応じた柔軟な対応を促す通知・通達を発信していただきたいと強く望みます。
「苦しむ人がいる」という事実から出発する
記事の中で、当事者の女性は、
「苦しむ人がいるという事実を知ってほしい」
と語っています。
まずは、知ること。
そして、本人の訴えを否定せずに聞くこと。
何ができるかを一緒に考えること。
その積み重ねが、当事者の孤立を防ぎ、命と生活を守ることにつながります。
化学物質過敏症の原因究明と支援制度の整備を求めるとともに、目の前で困っている方に対して、今できる支援を一つずつ形にしていく。
化学物質過敏症で苦しむ方々の力になれるよう、当事者の声を伺いながら、全力で取り組んでまいります。




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